指を熊手にして、ゴシゴシ頭をかいた

 由三は炉辺でドザ[#「ドザ」に傍点]を刺していた姉の肱をひいた。「馬鹿ッ!」 姉はギクッとして、縫物をもったまま指を口に持って行って吸った。「馬鹿ッ! 針ば手さ刺した!」 由三は首を縮めて、姉の顔を見た。――「な、姉、この犬どうなるんだ?」「姉なんか分らない。」「よオ――」「うるさい!...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 10:49 am  

吉本管理人の家

 吉本管理人の家へ、何かで集ることがある。彼等はどれもみんな巌丈な骨節をし、厚い掌をしているが、腰が不恰好にゆがんだり、前こごみであったり、――何処か不具《かたわ》だった。みんなそうだった。 市街地の端から、武田が別れてアゼ[#「アゼ」に傍点]道に入って行った。「健ちゃ、武田の野郎やっぱり※[#...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 10:48 am  

腰を折りまげて働いている百姓

 恐らく、どんな労働者よりも朝早くから、腰を折りまげて働いている百姓が、都会の場末に巣喰っている朝鮮人よりも惨めな生活をしている。それでも農村の青年は「軽チョウ浮ハク」だろうか。――これ以上働かして、それでどうしようというのだ。――健は、出鱈目を云うな、と思った。「七《しっ》ちゃ、小樽行きまだか。...

このエントリーの続きを読む≫

— posted by id at 10:48 am  

T: Y: ALL: Online:
Created in 0.0110 sec.

http://vitre-express.com/