お稲荷様

「いたこ[#「いたこ」に傍点]ッて婆だべ。いたこ婆ッてんだべ。――いたこ婆さ上げるんだッて、山利で油揚ばこしらえてたど。」「お稲荷様だべ。」「お稲荷様ッて狐だべ。んだべ!」――由三が急に大きな声を出した。「ん。」「んだべ、なア!」――独り合点して、「勝ところの芳《よし》な、犬ばつれて山利さ遊...

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いきなり怒鳴りつけた

「暇ば見て、小作人みんな出て直すより仕方が無えべど。――村に金無えんだから。」「犬だなア、兄ちゃ……。」「うるさいッ!」いきなり怒鳴りつけた。――「又小作いじめだ! 弱味につけ込んでやがるんだ。放ってけば、どうしたって困るのア小作だ。んだら、キット自分の費用でやり出すだろうッて、待ってやがったん...

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指を熊手にして、ゴシゴシ頭をかいた

 由三は炉辺でドザ[#「ドザ」に傍点]を刺していた姉の肱をひいた。「馬鹿ッ!」 姉はギクッとして、縫物をもったまま指を口に持って行って吸った。「馬鹿ッ! 針ば手さ刺した!」 由三は首を縮めて、姉の顔を見た。――「な、姉、この犬どうなるんだ?」「姉なんか分らない。」「よオ――」「うるさい!...

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